第四話 ウロボロス

2.僕から俺へ


 あ……あ……

 ママの手……すべすべした冷たい手が僕を撫でる。

 ほっぺを、のどを、むねを、うろこの生えた手のひらが撫でる……

 「ママ……ママ……」

 僕は身動きできずに、ママにされるがままだ。


 坊や……


 ママが僕を抱きしめる。 うろこに覆われたおっぱいに、僕の顔がうずまる。


 ああ……かわいい坊や……


 ママのおっぱいが、僕の顔を……ほっぺたをサラリサラリと撫でる。 何度も、何度も……

 ママのおなか。 大きなうろこが波打って僕のおなかをくすぐる。

 ママの足が、僕の足に絡みついて離さない。

 そして僕のいけないところを、ママの足のうろこが擦りあげる。

 「ママ……きたないよ……だめだよ」


 だめなんかじゃないわ……


 ママの足が、僕の足の間をいったりきたりすると……なんだか……


 坊や……ほら……判るでしょう?


 「ママ……変だよ……あれが……あれがピクピクして……頭の中が……変になる……」

 ママの足……ママが……僕のアレを……ゾリゾリって……ゾリゾリ……


 坊や……


 ママの声が遠くなった……とっても遠くから……あ……

 ママの足……の付け根……溝が……擦れてる……

 だめ……溝がこすれて……ああ……あうっ!?

 「ママ……!」

 ママの溝に僕のが挟まっている……先っぽがジンジンして……柔らかくて……


 坊や……坊や……


 「ああっ……ママ……」

 ママが……ママが……腰を……僕に擦り付けて……

 アレが……柔らかいママに包まれて……締め付けられて……じんじんして……溶けて行くみたい……

 ……………………


 坊や……?


 ……………………


 ふふ……いい気持ちになってきたのね……そろそろ……


 う……ううっ?……ううううううっ!?……

 ヒクッ……ヒクヒクヒクヒクヒクッ…… ああああああっ……

 変になった……僕はとっても変になった…… ママの中に何か漏らしてしまった……なのにとっても安らかで……

 ドクリ……

 ひぐっ!? 何!これ!?

 ドクリ……ドクリ……

 さきっぽが変! 戻って来る!? ママ!?

 ドクリ……ドクリ……ドクリ……ドクリ……

 戻って……アレが痺れて……玉が……

 ドクリ……ドクリ……ドクリ……ドクリ……

 腰も……あふれ……痺れて……

 ドクリドクリ……ドクリドクリ……

 いい……気持ちいい……ママの中から真っ黒いものが……気持ちいいドロドロが入ってくる……


 дёк……


 ойёфойёф……


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 俺は母と暮らしている。 親父もいるが、あいつはいてもいなくても同じだ。

 いや、あいつはいてはならない存在だ。

 母は『お父様は、私と貴方のために働いているのよと』言う。 信じられない。

 あいつは、時々ドアの影から、俺と母を除き見て、そして憎悪のこもった視線を俺に投げる。

 当然だ、俺と母は『できている』のだから。

 親父は気づくべきだ、母には親父より俺がふさわしいと。

 
 おいで……おいで!……


 母は、時々蛇女になって俺を誘う。 

 蛇女になった母に、俺は逆らえない。

 怪しい眼光で俺を金縛りにし、ベッドに誘う。

 ベッドの中で、俺は哀れないけにえとして、母に激しくむさぼられ、白い性の証を搾り取られる。

 そして『黒い快感』を注がれるんだ、気が遠くなるほど甘い快楽の液体……

 そして俺は机の前で我に返る。 ひどく痛む頭と、身動き一つできない脱力感に包まれて。

 その時、机の上にはいつも、本が広げられている。 吐き気を催しそうな、奇妙な曲線で埋められた本が。

 きっと、母は俺に何かをさせたいんだ。 きっと、それは親父には無理なんだ。

 俺は母の期待に応えてみせる。 そして、親父から母を奪い取ってみせる。

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